人身事故

 世の中には遭遇したくないけれども遭遇してしまうことがある。人身事故という名前の鉄道自殺。先日もテレビで放送されていた。JR灘駅で列車に飛び込み、その人は即死。おまけにその体がホームに跳ね返り、ホームにいた乗客数名けがをしたというもの。確か、その路線は4時間ぐらい不通になっていたと思う。大変な事故である。

 

 鉄道自殺は、成功率が高いがその分悲惨だという話がある。そして頻繁に起こる。よく言われることだが、電車の運転士が40年勤め上げる間に事故に1回も遭遇せずに済むことはないらしい。ひどい人は2回あるという。テレビでも人身事故のために不通というテロップがよく流れている。

 20年ぐらい前に、現場に遭遇したことがある。ホームに最初マネキンが転がっていたのかと思った。違った。事故で亡くなった遺体だった。下半身がなかった。上半身はきれいだった。昔から言われているように、駅員さんが、割りばしで肉片を拾っていた。遺体を見た感想。失礼な言い方だが、初めて死体を見た。今まででもお葬式に参列したことはある。でもその時は、すでに死に装束をつけたいわゆる「死んだらみんな仏さん」と言われる状態だ。そのようにされてない状態でなかった。という意味での死体だ。何か寂しい感じがした。

 

 ところで、にわかに信じられない話を聞いた。その様な現場に何回も遭遇したという。1回でもショックだった私にとってそれは衝撃だった。それも私のように事故の後ではない。その瞬間に出くわしたそうだ。腕などがちぎれて飛んできた。火箸のようなもので肉片を駅員さんが拾っていたそうだ。運転座席に近いところで進行方向を見ていると人が列車にめがけて飛び込んできた。本当に信じられない。でもリアルだし、わざわざ嘘をつく必要もないし本当のことなのだろう。電車通学が長かったし、と話していたけれど。

 

久しぶりに昔、完全自殺マニュアルという本が話題になったことを思い出した。意図するところは自殺を試みても簡単に死ねるわけでもないですよ。失敗する可能性のほうが大きいし、失敗したら、寝たきりになったり、脳に障害が残ったり悲惨だからやめようね。ということなのだが、作者の意図に反してこの本に書いてある通りに自殺する人が現れ社会現象になった。そしてこの本はベストセラーになるも18歳未満は読むことが規制された。

 

 

自殺という言葉は心に引っかかてしまう。それはいろいろと思うことがあるからだ。多分だらだらと私は生きていく。なーに私の場合単なる不平不満の怠け者心の逃げ口か。我ながら情けない。