お盆の季節に

  八月に入った。生協の宅配で頼んでいる仏花に鬼灯や桔梗の花が入った華やかなものになっていた。もうすぐ死者の霊が帰ってくるというお盆の到来である。

 本当に死者はこの世に帰ってくるのだろうか。私は帰ってくる気がする。子供の頃に母を亡くしたせいかもしれない。死の世界だとか、霊魂についてよく考える。極楽とか天国だとかピンとこないが死んだ人の魂は存在すると思う。幽霊だとか背後霊とかそこらかしこにうろうろしていると思う。この世に生を受けているいる者よりずっと大勢の者が。なにせ幽霊の平均寿命は400年ぐらいらしい。けっこう長生きである。それも平均寿命である。平将門崇徳上皇などの凄まじい念の持ち主は千年たっても霊というか魂が生き続けているらしい。神社に祀られているのは

 昭和の頃によく噂された戦国時代の古戦場の幽霊が最近あまり話題にならないのは、彼らが400年の時を経て無事に本当の意味での成仏をされたからだ。昔、古戦場がテレビに映し出された時は何か寂しいようなどんよりしたようないわゆる霊が存在している雰囲気があったのだが、最近は気のせいか関ケ原などの古戦場を見ても昔より明るく感じる。古戦場イベントなども開かれているのもそのためだろうか。

 幽霊の平均寿命400年説によると最近は、死んだ場所にとどまる幽霊、いわゆる地縛霊は江戸時代や第二次世界大戦で亡くなられた方のようだ。江戸時代の刑場地や第二次世界大戦の空襲被害が大きかったところなどはまだまだ無念の思いを抱えたままの死者がさまよっているらしい。むやみに近寄るな、といわれる場所だ。

 

 幽霊は恐ろしいものだろうか。私はまずは昔からむやみに近寄るな、というのは正しいと思う。刑場あとは勿論、現在の刑務所も近寄るべきではないと思う。無念の思いというものがこもっている気がする。もしその場所に行くことになれば、同情するのでなく敬意をもって両手を握ればいいと大丈夫だと思う。

 

 昨日は原爆記念日だった。追悼式典が行われていた。50年前、追悼式典に出ていたのは原爆で親を亡くした若者が多かった。彼らも気がつけば孫やひ孫に囲まれる年齢と終戦記念終戦記念日前後に組まれた戦争特集もだんだん減ってきた。

 

 でも亡くなった方の霊は肉体がなくなっても生きている。8月は、ゆったりとした気持ちで死者を想う月だと思う。