お金の話にご注意

 人間は生きている間、どれだけお金の話をしているだろうか。やっぱり人のお財布事情は気になる。自分のお金の使い方が、間違っていないか確認するうえでもどうしてもお金の話は出てくる。なにせお金というものは、生きていくうえで欠かせないもので、また楽しみも運んだくる。そして手に入れるのは労働がつきもので要は苦労が伴う。
 苦労は嫌だが楽しみは欲しい。宝くじを買うが一枚200円のスクラッチで2000円あてたのが最高である。世の中甘くはない。

 考えれば人の悪口の次に多いのがお金の話かもしれない。だいたい1ヶ月の食費の金額。旅行費用。ちょっと洒落た物を持っている人を見ると金額を聞きたくなる。反対に大阪という土地柄、安く手に入れたら「これいくらで買ったと思う」と自慢する。釣り好きが大物を釣った時に魚拓をとるように。
 
 そこらへんの話は別にいい。せっかく自分なり家族が苦労して手に入れたお金である。無駄使いすることなく有効に活用したい。また、安く買ったというささやかな成功体験を聞いてもらいたいのも人の性(さが)、嬉しそうに話しているのを聞いているとこちらも幸せのおすそ分けをしてもらった気がする。
 だが過剰な悪口を聞かされた時と同じ様に不愉快な気分になることがある。給料が高い人間が「その程度の給料でそんな贅沢をしていいのか。私はそんなことにそれだけお金を使ったことはない」と暗になじる。実際に身の丈以上の贅沢なら戒めなければならない。だが大概の場合、許容範囲である。また言っている本人はほかのことでは散財している場合が多い。それを責めると「私は使いたくなかったけど、夫が買いたいと言ったから」と言い訳する。自分も欲しかったのだろうと言いたくなる。
 反対にお金のない人間がひがみ根性丸出しで「いいな、お金のある人間は」とねちねち返してくる。自分がもっとがむしゃら働いたり、もっと丁寧にお金を扱っていたら、それを買えただろう、と言いたくなる。

 このような会話は不愉快かつ不毛であるにかかわらずひんぱんに行われる。マウントを取りたい、取られたくないなど感情的になるからだろう。でもやめたほうがいい。
 お金のある人間がお金の話をすると性格が悪くなり(そりゃマウントを取りに行っているのだから)お金のない人間がお金の話をすると頭が疲労して頭の動きが鈍くなる。性格が悪くなると人間関係が悪くなる。頭の動きが鈍くなると判断力が低下しだまされやすくなる。お互いお金の話をすればするほど不幸になる。

 なるほど。ネットで見た意見であるが一理あるな。会話は楽しむためであって不幸になるためのものではない。お金の話をやたらする人とは少し距離を置こう。不幸に引っ張られてたまるものか。