ワープロ、演算機能

 ワープロ教室に通い始めて2か月近くになった。初級コースも終わりつつある。文書の作成はできるようになった。この技能とある程度の速さのタッチタイピングができるようになると、ワープロ3級に合格できる。今では、ほとんど忘れてしまったが当時は文章の作成はマスターした。画面に出てくる文字が拡大されたり、動いたりするのが面白かった。また自分で活字文書を作成できたのが嬉しかった。
 先生に中級コースに通うことを勧められた。このコースはワープロ2級の内容だそうだ。演算機能の勉強をするらしい。パソコンでのエクセルにあたる。その時、演算という言葉の意味がわからなかった。でもここまで勉強したのだから、もっと上の勉強もしたかった。中級コースも申し込むことにした。中級コースの授業料も5万円だった。下世話な話だが、簡易型ワープロ代とワープロ教室の授業料しめて13万円。それは当時の私のお給料の手取り額と同じだった。

 演算機能とは、計算機能のことだった。文字面をみれば算数の算と演じるの演がので入っているので見当もつくはずだが、当時の私は、授業を受けるまでわからなかった。さっそく表計算の入力をする。金額を打ち込むだけで最終的に計算してくれる。『便利なものだなあ』と思った。表計算のやり方の次はグラフ作成だ。グラフ設定と数字の入力のみで棒グラフや円グラフが作成できるのだ。小学校の算数で『25%は角度にして90度、50%は180度』などコンパスと分度器で格闘して作った、あの円グラフがキーボードを打つだけで、あっという間に作れる。本当に便利な機械だ。
 表計算とグラフ作成、そしてそこで覚えたグラフを組み込んだ会議資料作成。ここまでが授業内容だった。しめて4か月間通った。飽き性の私にしては、よく続いたものだ。今から思うと向いていたんだろう。タッチタイピング以外は。
 ワープロ教室は終了した。先生は『ワープロの技術を身に付けていると就職に有利ですよ』と言われた。確かにその後、2,3年はワープロ打てますというと一目置かれた。そして、2,3年するとワープロ教室に通わずにも社内文書の作成ぐらいは皆、独学で身に付けていた。私の周りには、ワープロごときに10万円も費やしてと馬鹿にするするものも現れた。私は、後年アルバイトに教えるためのマニュアルを自分で作ったことはあるが、仕事で頼まれて社内文書を作ったことはない。若き日の給料1ヶ月分の投資は無駄だった訳だ。でも、まあいいか。円グラフを作ったりするのも楽しかったし、こうやって今ブログを書けるのもその時キーボードを触ったことから始まったと思う。