砂の器を見た

 砂の器の映画をみた。ネットフリックスで。何回もリメイクされているが最初の加藤剛主演のものを。迫力があった。あらすじはnhkの「100分で名著」知っていたが映画自体を見るのは初めてだった

 舞台は昭和48年という設定だ。松本清張が執筆したころはリアルタイムだが、令和4年の現在からするともう50年前の話になる。風物も懐かしい。私が小学生の頃はこんな感じだったのかと思うとしみじみした思いだ。警察の内部もクーラーがなく扇子をパタパタ仰いでいる。洋服も地味だ。
 田舎にいくと茅葺屋根の家がたくさんある。そういえば田舎にいくと茅葺をふくのをやめてトタンにする人が増えていると聞いたのもそのころだ。現在、かやぶきの里といえば美山のような観光地以外ではほとんど見られないが、その頃は、まだ田舎に行くとそこそこ見受けられたのだ。
 家具も今はスチールや一部プラスチック製のものも木製だ。やはり50年の月日の移ろいはあると思う。

 後半はもっと時代がさかのぼり戦前の話になる。加藤嘉と子役の名演技にもよるが見ていて心をえぐられそうになる。桜の花が満開の中で子供たちに囲まれていじめられるシーンがある。桜がいくら美しく咲き、春の訪れを告げても現実はむごいものだ。いじめている子供の方は家族でお花見などしていたかもしれないのに。

 50年前、私が小学生時代に過ごした風物の中で仕事をこなしていく刑事。そして後半の放浪する、いや放浪せざるをえなかった親子の壮絶な姿。そして昭和48年の頃の若者は子どもの頃、戦中戦後の苦しみを子供の頃、味わっていたこと。何か感慨深い、そして重い映画だった。