マリーローランサンの絵葉書

 マリーローランサンの絵葉書をいま見ている。美術館に行ったときに買ったものだ。ジュセンヌ・モロー(青い服の女)、シャルリー・デルマス夫人、母と子、蟻田を持つ少女の4枚だ。例のごとく見開き一つ分だ。この絵は以前住んでいた台所に貼っていたので、マペットがかかってまだらになっているものもある。前の家からだともう20年近く前か。まだ自分が40歳になる前だと思うと感慨深い。

 

 絵葉書を意識的に集め始めたのはこのころだと思う。時代的にもマリーローランサンが話題に上がっていたと思う。やわらかいパステルカラーに描かれた女性の目元の強い意志を持つ目が魅力的だ。そのような解説文もよく見た。

 

 私は彼女が描いた絵を見ると勇気づけられた気がした。解決策のない悩み。経済的なこと。頭痛とめまいなどの体の不調。すべてが八方塞がりだ。そんなどんよりした気持ちが少し楽になった。

 特に青い服の女の絵は好きだった。マリーローランサンの絵としては落ち着いた感じだ。服は青色一色ブックもくすんだ青と緑。華やかだはないのだが普段着らしい服に、何か読み物を、している感じが、なごむ。包まれたい気分になるのだ。

 ギターを持つ少女は反対に快活なイメージがある。花の髪飾りをしている。洋服の感じからしてプロの歌い手なのかな。若い娘さん。早春のイメージである。シャルリー夫人はあでやかだ。前面にマーガレットやユリらしき花がある。服にもリボンがあり、色彩豊かで、目つきも勝ち誇ったような見ようによれば傲慢にも見えるまなざしをこちらに向ける。盛夏のイメージだ。反対に母と子の絵は寂しいイメージだ。バックはどんよりしたモノトーンだ。子供の服もグレーで全体的に寂しいイメージだ。真冬のイメージだ。ただ、母親の洋服のピンクが唯一の温かみでこれが寒い時期の暖炉のように感じる。 

 これでマリーローランサンの季節ができる。言い忘れたが青い服の女は、秋のイメージだ。20年前、見ていた絵は、今でもやはり私を慰め、励ましてくれる気がする。