絵葉書を買い集める

 今、私の机の上に1冊の絵葉書帳がある100枚以上入る布張りの立派なものである。グレーの布張り刺しゅう入り。リサイクルショップで見つけたもので表紙は買った時から色あせている。多分、家でかなりのあいだ放置されたものだろう。元もtの値段はそこそこするかも知れないが、たぶん私は、300円まで買った気がする。

 とにかく元の持ち主からすれば不用品だったが私はすごく愛用している。今まで美術館や観光地で買い集めた絵葉書を入れて悦に入っている。一つのテーマに対して一つの見開き。そのページを開くと、その世界が開く。例えば古代エジプト展だとかクレー展だとか。4枚の絵葉書でその世界が浮かび上がる。

 古代エジプト展の場合、カラフルなレリーフ。ハトシェプスト女王像の頭部、セクメト女神像、カノプス壺の4枚。エジプト展も色々なテーマがあり、この絵葉書は「女王と女神」というテーマでメトロポリタン美術館所有とある。ハトシェプスト女王とクレオパトラ女王のことが主体である。大阪で開催されたものだ。絵葉書の裏を返せば小さく説明書きが書いてある。

 

 絵葉書を見るとその時の感動がよみがえる。古代エジプト展はほかの美術館のものも見に行ったことがある。包帯でぐるぐる巻きになったリアルなミイラやクレオパトラのころのアクセサリーも見たことがある。子供のころ本や図鑑を見たものが、目の前にあらわれたときは感動した。

 カノプス壺など言われても古代エジプトに詳しい人しかわからないだろう。ミイラを作るときに取り出された内臓を入れる容器だ。内臓ごとに4っに分けられ、その容器ごとに、内臓を守る神々の顔がある。このマニアックな出土品を目の前にした時のときめきは忘れない。

 

 元々は美術館の図録はかさばるし、お値段もそこそこするので、ある時から美術館に行っても絵葉書は4枚ルールを作った。でも結果的には1冊の絵葉書帳でいろいろな思い出がよみがえる。手作りの癒し本だ。