始めてライブハウスに行った日

 ライブハウスとは、どいうところを指すのだろう。小規模で歌手の熱気を感じられる 会場という意味合いなのか。200人ぐらい、大きく見積もると2000人ぐらいか。大阪城ホールの様に演者の顔がはっきり見えず、スクリーンに映し出される映像を見るということはない。最低条件として、お客さん全員が肉眼で演者の顔を見える距離にいるそれライブ感を味わう場所だろう。

 そういう意味でライブハウスに行ったことはある。三浦祐太朗のコンサートに行ったのだ。折しもお母さんの山口百恵のカバーを出して話題になっていた頃だ。結構ひんぱんにテレビに出ていた。やっぱり親譲りで歌がうまいと思った。そして、同じ歌を歌っているのに雰囲気が少し違う。悪く言えば、ベストテンに出ていた頃の山口百恵のド迫力はない。だけど、その分、優しい感じがした。

 彼が歌う「サヨナラの向こう側」を聞いていると涙が出てきた。生きていると後悔とやりきれなさで一杯になる。そんな思いを慰められる気がした。生の声を聞きたい。コンサートに行きたいと思った。
 そんな時にちょうど生協のチラシのチケットコーナーで三浦祐太朗の大阪公演のチケットが枚数限定で売り出されていた。思わず注文した。枚数限定だから、外れるかもしれない。当たればいいなと思った。

 結果は当たった。大阪まで出かけた。大きめのライブハウスに行くと、私のような50代、60代のおばさんばかりだった。まるで大安売り初日のスーパーの開店時間5分前の様子だ。服装も動きやすいようにスラックスもしくはジーパン。そして色は地味目。たぶん、このライブハウス始まって以来の平均年齢高めのコンサートだっただろう。大阪という土地柄か一人で来ていた私におばちゃんが話しかけてきた。「百恵ちゃんの息子さんもテレビで見たけど歌がうまかったので、生で聞きたかったので来たの」なるほど考えていることは皆さん一緒だ。ちなみにそのおばさん、「記念グッズを買いにいたけど、ミニトートバッグと名前入りのタオルしかなくて、迷ったけどミニトートバッグは使い勝手が悪そうなのでタオルにした。だってタオルは絶対、毎日の生活で使うし」と言って、買ったばかりの青い名前入りのタオルを見せてくれた。本当にスーパーの店先と一緒だ。

 でも三浦祐太朗のコンサートはよかった。となりの人はタオルを振り回して応援していた。私もタオルを買えばよかった。本当に誠実さが染み渡る彼の歌声は素敵だった。そして、トークではテレビで聞けないようなエピソードも話していた。彼らしい話だ。

 やっぱりライブはいいな。今度は私も名前入りのタオルを買って、振り回して参加したいと思った。