捨て活を実践、私の場合

 捨て活を始めるまで、我が家の状況はひどいものだった。2階建て3DKに夫と二人きりの生活。娘2人が巣立っていったので、その分、部屋は空いているはずだが、やたら物にあふれていた。まず娘の物。下の娘に関しては、一人暮らしをしていた時の家具や食器などの生活用品まである。おまけに祖父の家を解体するので、今は亡き祖父愛用の文机などいろいろな物をもらってきた。

 家中、物置小屋になってしまった。ただでさえ、収納下手なのに。だんだん足の踏み場もなくなってきた。有り余る物のおかげで生活に支障出てきた。困ったな。そこで『捨て活』である。まず物を保有する基準に「使えるもの」という概念を外す。自分が使えるものという判断したから、これらの物があるのだ。「使える」という基準は捨てる。今、使っている物以外は捨てる覚悟をする。「いつか使うという未来はほとんど来ない。まずは、3000円までで気軽に変えるものを捨ててみよう」捨て活の動画の言葉を信じて、私も頑張った。洋服はまず箪笥から、すべて出してこの1年間着た物以外は全て捨てる。案外もうボロボロになって着ることができないのに思い出があって捨てられない物もあった。快適な生活のためだ。ごめんなさい。今までありがとう。洋服に別れを告げる。台所が一番ひどかった。クリスマスケーキに付いていたロウソクとトナカイの飾り。20年置きっぱなしで一度も使ってない。ふちの欠けた皿。便利だと思って買ったけど全然便利でなかった百円ショップで買った便利グッズ。きれいだと思って買ったけど、使い勝手の悪かった皿。一年で十回も使わないさんま専用の長い皿。これを使うとさんまが美味しく見えるのだが使用頻度の割に場所をとる。早かれ遅かれ、いつか物との別れはくる。それは父が老人施設に入った時に身に染みたではないか。買ったはいいものの大きすぎた梅酒を漬けるガラスの容器も捨てた。捨て活を頑張っていた頃の1ヶ月に一度の大型可燃ごみや燃えないゴミの日、そして古着や古雑誌や古本を捨てるリサイクルごみの日は本当に家とごみ置き場を何往復もした。台所にある物をいま使っているものだけにしたら、食器棚の空いた場所に色々な物を入れることができた。下の段がまるまる空いたので厳選した台所用品。大根おろし用のおろし金。計量カップ。ワインのコルク抜き。何せ昭和40年生まれ。悲しきかな、結局のところ昭和の頃から有るものしか使いこなせないのである。そして、重箱やキッチンペーパー、食料品のストックは子供の使っていた部屋の押し入れの空いた部分に防災用品、防災備蓄品と一緒に保管した。お米はアルミのバケツ型のその名も「obaketu」という名前の米からとに入れて流し台の下に保管した。物が減るとそれを入れていた収納道具もいらない。結婚していた頃から使っていたライスライサー付き収納庫、調味料を置いていたワゴン、キッチンペーパーなどの消耗品のストックを置いていた棚も処分した。すっきりした。台所が広くなった。

 捨て活の動画の中で「捨てる、捨てないの迷いと憂鬱は一生。捨てるつらさは一瞬」という格言めいたものがあった。確かに捨てることに心の痛みは少なからず伴う。だけどすっきりとした台所を見るとポジティブな気分になった。そうだ、写真に撮って残しておこうか。この気分を忘れないように。