デジタル放送開始の想い出

 我が家にケーブルテレビが来たのは、2011年のことだった。2011年、そうアナログ放送が終わり、デジタル放送に変わった年だ。今までのテレビでは見れない。新しいデジタル放送対応のテレビに買い替えるかもしくはデジタル放送向けのチューナーを買うかのどちらかの選択をしなければならなかった。そしてデジタル用のアンテナをつけるか、もしくはケーブルテレビに加入しなければならなかった。

 どちらにしてもお金がかかる。当時がひょっとして一番、お金に困っていた時かもしれない。いらぬ出費に頭を悩ませていた。アンテナは初期費用に5万円かかる。ケーブルテレビは毎月の料金がかかる。チューナー機器は5千円で済むがもうその時点で使っていたテレビは1買ってから10年近くたっていた。買い替えも近い。買い替えるとチューナー機器は完全なムダ金になる。悩ましかった。手元のお金は乏しい。何が正解なのか。頭の中はそのことでいっぱいだった。

 結局のところ、ケーブルテレビが工事費無料キャンペーンを実施していた。そして半年間はケーブルテレビの加入者はチューナー機器をつけなくてもテレビが見れるらしい。これならば初期費用は抑えられる。デジタル放送が始まる前にケーブルテレビの工事をしてもらった。電話もケーブルテレビとセットで入った。高槻ケーブルという高槻市も関連している会社だった。デジタル移行時には必要だったのかもしれないであろう会社だった。

 

 ケーブルテレビに加入すると普段は月々3千円かかるというケーブルテレビのオプション番組が半年間で見れるというサービスがついていた。半年過ぎると月々3千円支払うか、やめるかの選択をして欲しいとのことだった。

 こうやって我が家もケーブルテレビの番組を見るようになった。夫は映画に車関係、そしてスポーツ関係と、好みの番組満載で夢中になった。

 特にその時に流行っていた歌が私の好みに合っていた。一番好きだったのがバンプオブチキンの天体観測。そしてバックナンバーの隣の花子さん。少し切ないような青臭いような感じが好きだった。ほかにも西野カナのトリセツやゴールデンボンバーの曲など聞くのが楽しみだった。

 

 あれからもう10年以上たつ。テレビは半年後にデジタル向けの26インチの液晶テレビを買った。もう少し大きくてもよかったのだが6畳間に合う大きさということでこの大きさにした。3万7千円ほどで購入した。ケーブルテレビのオプション番組はそのまま見ることにした。

 今はそれに加えてネットフリックスにも加入している。今年に入ってからだが、夫は毎日のように見ている。私は今まで見たかった砂の器若草物語山崎努主演の長いお別れを見た。どれもいい映画だった。昨日はバックナンバーのコンサートのフィルムを見た。10年以上たっても彼らの歌は素敵だった。彼らの歌を聞きながら彼らの歌を知るきっかけとなったデジタル放送開始の頃を思い出した。