CDラジカセより、コンパクト

 私が今、一番スマホを使っている時間、それは音楽を聴いている時間だ。昔から台所仕事をしている時にCDを聞いていた。近くにあるブックオフでお気に入りのCDを買ってそれを聴きながら食器洗いや床拭きをしたりしていた。ラジオという選択はない。聞くことに集中しすぎて手がおろそかになるのだ。

 私のお気に入りはウルフルズZARDレベッカというところだ。年齢が分かるな。でも音楽を聞いていると元気が出る。特にウルフルズの「遊ぼう」や「僕の人生の何章目ぐらいだろう」、ℤARDの「揺れる思い」や「君に会いたくなったら」、レベッカの「love is cash」などが好きだ。昔のいい方なら、レコードが擦り切れるぐらいに聞いた。

 ウルフルズやℤARDやレベッカは結婚してしてから聞き始めた。それより昔、CDが発売されていない頃の曲が聞きたくなった。中学、高校時代にレコードやラジカセで聞いた曲だ。その頃、ニューミュージックが流行っていた。私の概念ではフォークソングとの違いがわからなかったが、松田聖子中森明菜や少年隊などアイドルが歌う歌謡曲以外を指している感じだった。アリスや松山千春なども、そう呼ばれていた気がする。

 私のお気に入りは、さだまさしだった。グレープ時代の「精霊流し」、そしてソロデビューして出した少しコミカルな味わいのある「雨やどり」がヒットし、だんだん有名になったころだ。私は、友達のうちでさだまさしのアルバムを聴きに行った。当時、家にステレオは有ったが、なんとなく実家には音楽を楽しむ環境はなかった。でも、さだまさしは、好きだった。「つゆのあとさき」や「フェリー埠頭」など切ない思いを朗々と歌い上げる感じが好きだった。何か少女雑誌のリボンに出てくる漫画のような切なくも、美しい情景を持つ歌だ。

 ブックオフにはレコード時代に発売されたさだまさしの初期のアルバムはおいてなかった。定価でも欲しかった。でも近くにレコード屋さん(言い方が古い。CDショップか)ずっと聞きたいのに聞けないままになっていた。それがスマホで聞けるのだ。嬉しかった。久しぶりに聞いたさだまさしの曲は心地よかった。それにCDラジカセと違い場所も取らない。台所の窓辺に置いて聞く。洗濯を干しに行くなど、場所を外す時は指一本で止められる。便利で楽しい。さだまさしをはじめ、台所で色々な曲を聞くようになった。